区分マンション投資で「年間家賃収入÷購入価格」だけを見て買うと、出口で必要な買い手と価格を見落とす。売る時期を決め切れなくても、購入前に複数の売却価格を置き、その価格でローンを返した後にいくら残るかを計算できる。表面利回りに加え、保有中の現金収支と出口を一体で見る。
出口価格は、希望価格ではなく買い手から考える
近隣の成約事例を国土交通省の不動産情報ライブラリなどで確認する。その上で、賃借人付きで投資家に売る場合と、空室で自宅購入者に売る場合の買い手の層を分ける。後者を想定するなら、賃貸借契約の終了を自由に決められる前提は置かない。駅距離や間取りだけでなく、管理状況と修繕負担が価格にどう響くかを確認する。
建物全体の長期修繕計画、積立金の水準と残高、滞納、工事履歴は住戸の内装とは別の論点だ。国土交通省のガイドラインは、計画に基づく積立と定期的な見直しを示す。現時点の積立金が低いことを、将来費用の低さと読み替えない。
年間の家賃を手元に残る額に直す
家賃収入から空室期間、入居者募集、管理委託、管理費・修繕積立金、固定資産税、保険、設備交換費を差し引く。将来の設備交換に備えて積み立てる額も資金計画に示すが、実際の支出と二重には差し引かない。借入があれば利息と元本返済を含む現金支出も示す。税務上の不動産所得と現金収支は一致しない。国税庁は不動産所得を総収入金額から必要経費を差し引いて計算するとし、借入金の利息などの扱いも説明している。
毎年の利益が出ているように見えても、設備交換の年と空室の年に資金が足りるかは別だ。年間賃料が一定という前提を崩し、賃料低下、空室延長、金利上昇を一つずつ、次に重ねてみる。
売却価格と時期を変えて手元資金を比べる
税引前の概算手取り = 売却価格 − 仲介手数料などの売却費用 − 売却時の借入残高。譲渡所得の課税額はこの式と異なり、取得費と譲渡費用、減価償却費相当額、所有期間等を別に確認する。
標準ケースに加え、価格が下振れしたケース、売却まで長引いたケースを置く。持ち出しなしで残債を返せる最低売却価格は、投資判断の重要な境界になる。建物の取得費は減価償却により調整されるため、購入価格と売却価格の差だけで税負担を見積もらない。所有期間による短期・長期の区分は、譲渡年の1月1日現在で判定する。
購入前に欲しい資料
- 周辺の成約価格と競合在庫、住戸条件の差。
- 現行賃貸借契約、賃料履歴、賃借人の有無と契約条件。
- 管理規約、長期修繕計画、積立金残高と値上げ・工事の議事録。
- 融資の返済予定表、金利改定条件、売却時の抵当権抹消と返済条件。
- 取得費の根拠資料と税引後の売却手取りの試算。
これらを確認しても出口価格は確定しない。ただ、「どの価格なら買えるか」「どの条件なら買わないか」は明確になる。Edo Partnersの区分マンションの独立評価では、取得、保有、売却を同じ収支表で検討する。
参照資料
資料確認日:2026年9月26日。税務や融資条件は個別の物件・契約に基づき確認する。
